あの奇妙なアニメ「影鰐」のクリエイターとは? 合同会社Tomoviesにお邪魔して来ました!

闇芝居(一期)」そして「影鰐

見たことある人は「あの作品か!」となるくらい一度見たら忘れられないインパクトのあるアニメ作品であり、見たことない人も字面だけ見るだけでなんだか気になってしまうタイトルのアニメ作品。両作品ともちょっと奇妙で恐ろしく、今まで見たことがあるようで、でもどこか新鮮。ちょっと見始めるとついつい気になって最後まで見てしまう作品で、短い尺だけどとても満足感のある映像に仕上がっています。見たことがない人でも気軽に見始められる短編の作品集ですので、もし見られてなければお時間あるときに見てみてください。


ちなみに忙しい方向けの合同会社Tomovies(以下、トムービーズ)さん紹介!トムービーズさんとはこんな会社なんです。

  • これまで企画制作した作品がシーズン2以上まで続いている企画力
  • 数あるアニメ作品の中でも圧倒的に異様な存在感をもつビジュアル
  • 独自の手法と制作体制で短期間&リーズナブルを実現する制作力

今回、取材をさせて頂いて気づいたのは代表で監督の高嶋さんの発想の自由さで、その一部には日本の一般的なアニメ制作会社では出てこないような自由さがありました。そういった発想が上記の短期間&リーズナブルで実現する制作力であったり、継続して作品が続くことを考え抜いた企画提案に繋がっているのではないかと思いました。

高嶋さんと明元さん、昔から付き合いのある2人の会社

代表で監督の高嶋さん

トムービーズは代表で監督の高嶋友也さんと、プロデューサーの明元政喜さんの2人で運営されているアニメーション制作会社です。お二人は中学時代からの知り合いでそのまま同じ高校に進学し、そこからずっと一緒に制作をされています。お二人とも80年代の映画が好きで「あの頃見ていたものに繋がるようなものが作りたい」という想いがあり、トムービーズさんのビジョンにもあるように「20年続く文化=コンテンツ」を作るために制作されています。

今記事では主に制作環境や制作ツール、そしてアニメ制作に対する想いをお聞きしてきました。

制作について

1, アニメ制作会社では珍しくUnityを使用している

高嶋さんにUnityとAnimaを使った制作フローの説明を受けています

高嶋さんが語るアニメ制作現場でUnityを使う利点は「レンダリングが不要で制作が早い」という点だそう。実はこのUnityというソフト、ゲームエンジンと呼ばれるゲームを制作するためのソフトで、家庭用ゲームからスマホゲームまで幅広いジャンルのゲーム制作で活用され、最近話題のVR開発の分野でも7割ほどのシェアで利用されています。無料で使うこともできるゲーム業界では馴染みの深いソフトですが、アニメ制作会社でこのソフトを使っている会社は殆ど無いのではないでしょうか。効率良く制作出来るツールはなんでも導入するトムービーズさんらしさが早速あらわれてますね!

ちなみにUnityのWikipediaの説明はこの通り。

Unity(別名:Unity3D)とは、統合開発環境を内蔵し、複数のプラットホームに対応するゲームエンジンである。ユニティ・テクノロジーズ(英語版)が開発した。(wikipediaより)

Wikipediaからの参照にもあるようにUnityは「ゲームエンジン」とありますが、実際は開発環境や実行環境を内蔵しているのでもはや「ゲーム開発プラットフォーム」なんですね。ちなみに少し脱線しますとカジュアルに作るVRゲームだとUnity、作り込むのであればUNREAL ENGINE(アンリアルエンジン)なのだそう。

トムービーズさんの場合はこのUnityとの組み合わせで、Animaという「群像キャラクターアニメーション」を手軽に作成できるソフトを使って空間とモブを作っているのだそうです。このAnimaというソフトは指定してあげるとUnity上の椅子に勝手に座ってくれたりするそうで、そこに加工して仕上げて背景空間を作り上げれるとのことです。非常にスピーディーな制作である事が感じられました。

2, 他の制作会社との協力体制

他社の制作会社との連携も、作品を広く伝えていく部分でとても大きいと高嶋さんは語られます。そのうちの一つA社とは学生の頃に賞を受賞しその流れでお仕事をもらってからの付き合いだといいます。

「プロモーションやPRを一緒に考える仲間が必要になり、コラボワークの必然性を考えますね」と語られる高嶋さんの言葉が示すように現在は映像作品をただ作るだけでは観てもらうことは難しく、様々な付帯要素を意識しながら適宜PRプロモーションをしていくことが必須となっております。そういった中で一社だけでその課題を突破することは難しく、トムービーズさんとA社のようなコラボワークの必要性が高まっていることを改めて感じました。

作品を作るだけではなく、作品を広げていきマネタイズを出来るようにすることが課題。一緒に制作していく会社さんと一緒に勉強していきながらやっています

筆者がトムービーズ作品を見て気になったのは、中核で動かれているメイン2名(高嶋さん、明元さん)+外注クリエイター(全国に80人程度からその都度選定)のスモールユニット体制で制作を行いながら、PRやグッズ展開まで幅広く行われているという所。その部分について話を向けてみるとやはり高嶋さんの考えの中には、今後は制作会社もどんどんそういうこと(PRなど)をやっていかないといけないという考えがあるということが分かりました。

トムービーズさんとしてはこれからの展開次第では制作チームと同じくらいの重要度を持ってPRチームの必要性を感じているということです。また特に若い世代の加入が重要だということを言われていました。この記事を読んでいてアニメ業界でプロモーションを行ってみたいなと思っている若い方々、トムービーズさんにコンタクトとってみるといいことあるかもですよ。

3, 絵コンテについて

こちらは実際に使用された絵コンテ

絵コンテはポストイットで行っているという高嶋さん。ポストイットの一枚一枚に画を描いて壁に貼っては入れ替えたりしているそうです。ピクサーで見かけるような壁にペタペタ貼っているようなあれがそのまんま絵コンテになるとのこと。内部で把握するのであればポストイットのままで問題ないのですが、外注のクリエイターさん用には一般的な絵コンテ形式にする必要があり、その際にはスマホアプリの「CamScanner」でスキャンしたポストイットのデジタルデータと「絵コンテエディタ」を使い、絵コンテの形式にされているそうです。

4, 実際にどのように3Dソフトなどを使いながら制作しているのですか?

明元さんと高嶋さんのデスク

効率化の正体は実は役者たちがキャラクターになりきることにあったようです。

トムービーズさんは実際に役者が演じた写真からアニメーションを起こし、3D背景に合成することで独自の表現にされています。またソフトの使い分けとしては背景や乗り物などは主に3Dでやるようにしているようでして、その基準は「時間ががかからないものは3Dでやる」ということのようです。

5,トムービーズの得意な表現は?

「僕らの作品の特徴は奇妙さや怖さ、懐かしさといったものですかね。闇芝居1期のような昭和の残り香を残したような作品だったり、アニメなんだけど、より実写寄りのアニメらしくないテーマに合うんじゃないかと思います。劇画調のものだったり」

トムービーズさんではなるべくコストを抑える為にカメラワークを意識して人物がよく動いているようなカット作りをされています。この努力から実際にはキャラの枚数は1,2枚であったとしても派手に動いていたり飛んでいるように見えるカットが生まれています。

お金かけなくてもよく動いている方法は持っているのにプロデュース側でお金がかかりそうなカットはシャットアウトされてしまったという経験が過去にある高嶋さんは、その経験を基に自分の会社ではそういった表現を積極的にやっていこうと思われたそうです。

ちなみに筆者が思うトムービーズ作品の良さは「安定した驚き」を感じられるというところだと思っています。「闇芝居1期」であれば前半に違和感が提示されて、それが後半で確実に回収されて驚かされるという安心感。それは「影鰐」でも同様で、安心してびっくり出来るコンテンツ、さらにそれがコンパクトにまとめられているからちょっとした空き時間にその「感覚」を味わいたいなと思ったらすぐ味わえる。ファストコンテンツというべきか。とにかくそのようなコンテンツの属性が現代の消費者の動向にあっているように感じます。高嶋さん曰く「ホラーは期待値が見えやすい」し「絶対に怖がりたいから見る」からとのこと。まさにそうですね。

今後どういった作品を制作される予定ですか?

「僕らとしては日本にしか受け入れられない作品ではなくて、海外でも受け入れられる作品の制作を目指しています。そうしていかないと長く愛される作品は作れないという前提があります」

そのように語って頂いた高嶋さんですが、やはり長い尺の作品に関しては現在の視聴環境の変化もあり、なかなか見ていただくのが難しいという想いもあるようで、「影鰐」で作ったような短い尺だけど満足感を与えれるような詰め込みをした作品を作っていく事を考えられているようです。そんなトムービーズさんからお知らせがあるようです!

オリジナルアニメ「DON’T CRY」の劇場上映が行われます!

ハリウッドとシドニーの国際映画祭でベスト短編アニメ賞を受賞しており、14の映画祭でオフィシャルセレクションに入っているトムービーズオリジナルアニメ「DON’T CRY」ですが、そのオフィシャルセレクションに入っている映画祭の一つが5月10日に、東京の渋谷アップリンクで開催されます。日本では初上映にして(今のところ)唯一の劇場公開らしいので、是非足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

詳細な情報は以下の通りです。

名称:東京リフトオフ映画祭(英語表記:Tokyo Lift-Off Film Festival)

Tokyo

会場:渋谷アップリンク

http://www.uplink.co.jp/

会場アドレス:〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町37-18

日程:5月10日(水)20:00- Local Filmmaker’s showcase and Networking party

入場料:[当日券]1,391円(チケット入手はこちらから)

Tokyo Lift-Off 2017 – Shorts programme 3

取材を通じて 筆者(JapanAnimeMedia)が思ったこと

「コンテンツの寿命が短くなっている」

高嶋さんとの話の中で出来てきたこのフレーズに筆者も強く同感しました。弊社もメディア事業とは別にアニメ制作を行っており、このコンテンツが溢れている中でどのようにして「見つけてもらうか」「最後まで見てもらうか」そして「何度も楽しんでもらえるか」を考えながら制作しており、日々コンテンツがどんどん生産され消化され忘れられていく事について考えています。

作り手は良い作品を作るという事が喜びであり目標であることに間違いはないですが、テレビ向けに制作されているアニメのクオリティが上がり過ぎていて制作のコスパが悪くなってしまっているという現実はあると思います。クオリティがどんどん上がってしまい現場も疲弊気味の中、トムービーズさんで推進されている制作手法はそういった現場の流れに一石を投じそうだと感じました。

「デバイスに最適な映像の作り方が求められる中で、僕らの規模は合っているのかもしれないです」と高嶋さんは語ってくれましたが、その一つの形としての「適度な省略」の技術は今後大いに実際の現場で役立っていきそうだと感じました。

パソコンで動かせるものであればいろんなアウトプットに対応できるというトムービーズさんですので、アニメを作ってみたかったけど予算が高かったり期間が長くて頼めなかったりしていた企業の方々にとってトムービーズさんはきっと良いパートナーになるでしょう!

(取材、記事:迫田祐樹)

(写真:小路直哉)

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