セルアニメの新時代が到来間近!デジタル化が進むアニメ制作の未来とは?

前回の記事では第一部の「デジタル作画セミナー」を紹介させていただきましたが、今回は同日に開かれた第二部「セルアニメ新時代研究部会」の様子をお届けします。

「セルアニメ新時代研究部会」

この「セルアニメ新時代研究部会」は京都府、京都市によるコンテンツ産業の支援拠点・京都クロスメディア・クリエイティブセンター(KCC)が主催としてまとめ役を担い京都精華大学を舞台に開催されたイベントで、アニメ業界におけるデジタル作画の様々な今後を予感させるイベントとなりました。

また「産官学」の連携として、経済産業省事業「アニメーション・デジタル作画人材共同育成コンソーシアム」の運営を行っている(一般財団法人)デジタルコンテンツ協会の後援、そして文部科学省事業である「アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム」の協力を得ることで、日本のアニメ業界の課題解決に京都が貢献できる可能性も示しました。

主催:京都クロスメディア・クリエイティブセンター(KCC)、京都府、京都市

後援:一般財団法人デジタルコンテンツ協会(経済産業省事業「アニメーション・デジタル作画人材共同育成コンソーシアム」運営)

協力:文部科学省事業「アニメ・マンガ人材養成産官学連携コンソーシアム」

現在のアニメ業界は変革の最中

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2015年10月〜12月、この3ヶ月だけを切り取ってもみても我々が見ることが出来る新作アニメは60本を超えます。

そしてそれらの新作アニメは視聴のされ方もとても多様です。今まではTV視聴が主たる視聴形態で、もっと言えば週末の朝や、平日の夕方などが主にアニメが視聴される時間帯でした。今はそのTV視聴においても深夜アニメが大量に制作され、その他にもアニメ専門チャンネルやネットを主戦場とした様々なVOD(ビデオ・オンデマンド)サービスがしのぎを削っています。

そのように多様な視聴媒体がある中で、同時に視聴デバイスも次々に登場しています。今までのTVに加えて、スマートフォンでの視聴、パソコンでの視聴、ゲーム機での視聴などです。

そしてこの変化の流れは現在の第一線のアニメ制作側の制作環境も及んでいます。

これらの変化の動向は今現在、アニメ業界を目指し勉強をしている学生や次のキャリアにアニメ業界を視野に入れている社会人にとってみても気になる問題です。

そんな激動のデジタルとアナログの狭間を第一線で活躍されているキーパーソンを招き、その業界の動向に最も敏感な場所の一つである京都精華大学で行われた今イベント。

この記事ではそのイベントの模様を登壇されたキーパーソンの写真を含めて紹介していきます。デジタル作画という大きな流れを受けた日本のアニメーション制作が、京都を中心に変わっていく予感がします。

ライデンフィルム京都スタジオ室長:坂本一也さん

ライデンフィルム京都スタジオ室長の坂本一也さん

ライデンフィルム京都スタジオ室長の坂本一也さん

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まずはライデンフィルム京都スタジオ室長の坂本一也さんから、現在のアニメ制作の一般的な状況の紹介です。

スライドに映し出される情報はスケジュール期間や制作に携わるクリエイターの数や役割などであり、たった今の新鮮なアニメ制作現場のリアルで、アニメ業界を目指す学生にはとても有益な情報であると言えそうです。

現在の制作現場はかなり人手不足だ

現在は深夜アニメが増えてきており、そしてネット媒体を使ったアニメ、更に短編アニメの数が増えてきていると語るライデンフィルム坂本さん。またこれから更に増えていく可能性が高い「3D技術を使ったセルルックのアニメ」の存在には2Dアニメーターとして気になっている、との気持ちを披露されました。


坂本一也さん:ウェブ発信の数が増えた陰で、OVAが現状はほぼ無くなってしまった。この部分は個人的には悲しい所です。昔は90分のアニメーションが多かった。最近はテレビシリーズの総集編をベースにしたアニメの劇場アニメ化だったり短編の劇場公開が増えてきた。そういった流れを踏まえた上で業界がデジタル作画をどのように取り入れていけばいいのかと考えています。

スタジオコロリド代表取締役:宇田英男さん

スタジオコロリド代表取締役社長の宇田英男さん

スタジオコロリド代表取締役の宇田英男さん

アニメ業界がデジタル作画に舵を切っている最中でその先頭を走り、様々な試行錯誤を経て実例を残している東京、天王洲アイルにあるスタジオコロリド。

テレビアニメの分業制よりは一人のクリエイターが複数の作業をすることが出来るデジタル作画の方が、結果的に一人当たりの報酬をを増やすことができるのではないか、という気持ちから導入した

第一部の「デジタル作画セミナー」ではスタジオコロリドの新井さん、栗崎さんによるデジタル作画のレクチャーが行われましたが、第二部では代表取締役としてスタジオコロリドのクリエイターを牽引する宇田さんの話に注目が集まります。ここで宇田さんはデジタル作画の「運営面」「考え方」「管理の仕方」について実例を交えて紹介します。

スタジオコロリドがデジタル作画を導入したきっかけ

1:少数精鋭の中でより質の高いアニメーションが制作できる

京都精華大学卒で「陽なたのアオシグレ」の監督の石田祐康さんのデジタルツール導入希望を受けてデジタル作画を導入したと語る宇田さん。アニメ業界が内包する「長時間労働の問題」、そして一人一人のアニメーターの報酬を上げたいという想いを実現する為の手段としてデジタル作画を導入されています。

2:労働環境面

デジタル作画を導入することで一人のアニメーターも原画、動画だけではなく、彩色、撮影も含め様々な仕事をすることが可能になる。一人あたりの賃金報酬を上げていけるような体制を作ることを宇田さんは目指されています。

アニメ制作団体グラフィックパーク代表:秋吉亮さん

アニメ制作団体グラフィックパーク 代表 秋吉亮

アニメ制作団体グラフィックパーク 代表の秋吉亮さん

アニメ制作団体グラフィックパークは、インターネットを活用し商業アニメに近い形でアニメ制作をしている団体です。プロとアマチュアが合同で制作しており全国から多数のクリエイターが参加しています。

代表の秋吉亮さんは実際にグラフィックパークで制作した「Cirque le coeur」を例に出し、インターネットやデジタル作画を導入した際のメリットを語られました。


秋吉亮さん:デジタル化のメリットとしては「紙の受け渡し」という金銭的、時間的なコストが削減できること、そしてスキャンの手間が減っていく所にあると思います。

セルシス代表取締役社長:野﨑愼也さん

セルシスの代表取締役社長の野﨑愼也さん

セルシス代表取締役社長の野﨑愼也さん

我々はデジタルの鉛筆であり、デジタルの定規を作っていく会社

現在、デジタル漫画やデジタルイラストのソフトとして優れた描き味で評価の高いCLIP STUDIO PAINT

このソフトを開発、販売しているのが株式会社セルシスで、CLIP STUDIO PAINT以外にもRETAS STUDIOというソフトでこれまでのアニメ業界のデジタル面を牽引してきており、第一部の「デジタル作画セミナー」で登壇されたスタジオコロリドの新井さん、栗崎さんもRETAS STUDIOの中の作画ソフト「Stylos」を制作の中心にされてます。

「セルシスはRETAS STUDIOを作るために作った会社である」と語る野﨑さん。現在は開発終了しているRETAS STUDIOに変わるソフトがCLIP STUDIO PAINTで、今イベントではCLIP STUDIO PAINTの今後のロードマップを示されました。


野﨑愼也さん:プロのアニメ制作現場環境は多くの作業に分業、分担されています。下流工程に対しての最大の情報源がタイムシートであり、CLIP STUDIO PAINTにおいても情報の伝達手段をデジタルならでは切り口で向上していこうと思っております。

次に彩色機能の向上です。

今回のCLIP STUDIO PAINTのアップデートは「タイムライン」「ライトテーブル」「原動画チェック」の機能をつけたもので、まだPaintMan(RETAS STUDIOの中の彩色ソフト)などと比べると効率性の面で劣ります。ですから最終的にはCLIP STUDIO PAINTで彩色工程まで出来る事を目指していこうと思います。

そして他のソフトとの連携強化を考えています。今後デジタル化がますます進み、プロ・アマ問わず自由な表現手法で作品が制作されていく中で、一つのソフトやアプリで全工程をカバーすることだけがみんながハッピーになる方法ではないと思っています。他のソフトとの連携をすること、そしてそのオープンな制作環境の中の中心となれるソフト作りをしたいと思っています。

最後に素材管理です。

(第一部のコロリド様セミナーを通して、)素材管理は重要だなと改めて思いました。Stylosは既存のセルアニメの現場の事を考えて作りましたが、CLIP STUDIO PAINTはまだまだ足りていません。アニメーション制作ではプロアマ問わず、たくさんの画像ファイルがありますので、そこはマストだと思いました。

CLIP STUDIO PAINTではイラスト、漫画、アニメだけに既存の枠組みだけにとらわれることなく、液晶デバイスをターゲットとした新しいデジタルコンテンツの制作環境を作ることを目指しています。そこにはユーザーのクリエイティブな発想も必要だと考えています。

株式会社ワコム チャネルマーケティング:轟木保弘さん

株式会社ワコム チャネルマーケティング:轟木保弘さん

株式会社ワコム チャネルマーケティングの轟木保弘さん

世界150カ国でペンタブレットを販売している株式会社ワコムの轟木さんはハードとソフトの連携について語ります。

意外にもペンタブレット会社の中では最後発だったというワコムですが、そのワコムで開発販売されている様々なペンタブレットは現在は世界シェアを一番多く獲得しており、海外の多くのクリエイティブの現場でも使われています。それほどの技術力があるハードウェア会社が日本にあることもとても嬉しいことですが、轟木さんはこれからソフトとの連携が重要であることを海外の事例を例に語られました。


轟木保弘さん:現在の海外は二極化の傾向があります。劇場作品に関しては時間と費用をかけたフル3DCG作品を作る傾向、そしてテレビシリーズにおいては一貫して2Dアニメが作られています。

そのような現状で世界的にコンテンツが不足しており、海外では日本のアニメ会社が作ってくれるなら是非一緒にやってみたいと思っている所がたくさんあるように感じておりまして、日本のアニメ会社には充分なチャンスがあるのではないかと思っています。

京都精華大学アニメーション学科:坂本拓馬さん

京都精華大学アニメーション学科の坂本拓馬先生

京都精華大学アニメーション学科の坂本拓馬さん

3DCG監督として数々のアニメを手がけてきた坂本さん。現在は京都精華大学のアニメーション学科で教員として活躍されています。

坂本さんは大学でどのようにデジタルを指導していくか、確実に来ているデジタル化の流れをどのように魅力的且つ実践的な授業に落とし込んでいくかという所を話されました。


坂本拓馬さん:専門学校ではなく大学としてどういう教育をしていくのか。デジタル技術を学ぶ以前に基本的な物の捉え方、物を描く力、観察力、どういう風に物を動かすのか、などの物作りの根幹となるような所は変わらないので我々はその部分を大切にしています。

アカデミックな教育をしつつ、業界のニーズも高まってきているので、時代の流れにあったデジタル教育を行っていきたいと思います。

京都精華大学アニメーション学科:大橋雅央さん

京都精華大学アニメーション学科の大橋雅央先生

京都精華大学アニメーション学科の大橋雅央さん

京都精華大学のアニメーション学科からもう一人、過去に大学院にてアニメーション産業関連の研究をされていた経験がある大橋さん。アニメ業界を長く見てきた視点で現場に必要な人材について語られます。


大橋雅央さん:私は紙と鉛筆を使って作画をしているのですが、学生も紙と鉛筆でアニメーションを作っています。学生は大学で現場で必要な技術を学んでもらって現場に入っていくことが大事です。デジタルにおいても使い慣れる事が必要です。

大学としては鉛筆と紙でアニメートできる事が大前提だと思っています。その大前提部分をしっかりやった後にペンタブレットや液晶タブレットなどのデジタルの道具に慣れていって、現場で即戦力になれるようにしていければと思っています。

デジタル作画が進むアニメ業界の現状と未来

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教育現場から制作現場まで

ーーアニメの制作現場から、教育現場へのニーズや要望などはありますか?

宇田英男さん(以下、宇田):デジタル化の前に「しっかり描ける」ことが大事。

先ほどの「デジタル作画セミナー」に登壇した新井も栗崎も元々アナログで描いていて、コロリドに入ってからデジタルを身につけました。人によって個人差がありますが、若いうちはよりデジタル化への適応力があると思うので、そこで必要なのはきちんと描ける力。

業界自体がさほど大きくないアニメ業界では財務基盤がしっかりしている制作会社があまり多くなく、自社でR&Dができないなどといった事実があります。そこでメーカーさんとも協力させていただき、業界によってより良いワークフローを築いていくことが理想であると思っております。

ーーデジタル作画の導入で、制作現場は変化はありましたか?

宇田:デジタル化が進んで複数の作業を一人のクリエイターができるようになりました。それに伴い賃金的には上がる人もいますが、しかし一方で仕事の幅が減って、段階的に下がる方もいるかもしれないという危惧はあります。

デジタル化については業界全体で段階的にどのように移行していくかを考えていかないといけないと思っています。


アニメ業界にデジタル化が進むと?

ーーデジタル化が更に進むと具体的にどうなるでしょうか?

大橋雅央さん(以下、大橋):デジタル化が進むと、どこでも仕事ができるようになります。現在、東京には日本のアニメ会社の8割から9割があると思いますが、これはスケジュールの無い中で、描いたものをすぐに手渡ししなければならないといった必要性からです。

このままデータでのやり取りが進むと、東京に住んでいる意味が薄れていくと思います。日本のアニメ業界を見ると東京にメインストリームがありますが、生活費なども考えると地方に出て行くメリットも考えることができます。

アニメの仕事は人にくっついており、できる人のところに仕事がきます。できる人が経済的な安定を求めて東京から地方に出て行く。そうすると地方でアニメ産業のクラスターが形成されるようになります。

そしてそこからもう一歩「京都」という特殊な環境に目を移すと「産業観光」という可能性もあります。アニメの制作現場を見たいという申し出は結構あると聞きます。見学できるアニメスタジオが京都にあれば、これがまたお金を生んでいくかもしれません。アニメは作らないが、アニメ関連で生きている会社や人が増えれば、もっと京都にアニメ文化が根付いていくのではないかと思います。

ーー将来のデジタル化の課題、メリットとデメリットは?

宇田:現在においては連携できる会社が少ない点、長期的に考えると人材育成方法が確立されていない点が課題かなと思います。

大橋:デジタル化に伴う費用面、液タブの負担、ソフトの負担、デジタル化の費用面の問題があると思います。

ーーデジタル化によりアニメの転換期が訪れるのか?

坂本拓馬さん(京都精華大学)(以下、坂本(京都)):今までも何回も転換期は訪れています。デジタル作画はデジタル転換期の最後の砦として残っていますが、例えば「撮影」「色塗り」といった工程においての転換期は沢山起きています。

坂本一也さん(ライデンフィルム)(以下、坂本(ライデン)):現在のアニメ業界には自宅作業をされたり、スタジオを渡り歩くフリーランスの方が多くいます。作画の現場の話になりますが、例えばデジタル作画を導入するにあたっては、個人でデジタル機材を導入しているフリーランスの方でないと仕事を出せなかったりする事が考えられます。そこには業界内においてソフトやツールの統一が難しいという問題があります。

今後、そこに互換性が確立するか、それとも一本化してしまうか。

フリーランスのアニメーターはそういったもの全てに対応していかないといけない状況になります。デジタル化が進むことで完全にアニメーターが失業することはありませんが、仕事のやり方を変える必要に迫られるようになるのではないかと思っています。アニメーターの仕事というものの見直しが必要になっているのかなと思います。

野﨑愼也さん(以下、野﨑):私は91年に会社を作りまして93年にRETASの最初のバージョンをみなさんにお披露目しました。その時に撮影の方がきて「俺の仕事を奪うのか」と言われたことを今の話を聞きまして思い出しました。

当時は100%アナログで制作されており、「コンピューターで作る」というのはポンとやればガラガラと出てくるような、人間なんて要らなくなるというイメージがありました。しかし決してそんなことはなく、昔、撮影台で撮影をしていた人がその経験を活かし現在はAfter Effectsを使って撮影をしている、といった事に過ぎないということです。

轟木保弘さん(以下、轟木):例えば手付けアニメーションを3DCGでやろうとしても、本来のアニメーションとして成立する動きを分かっている人がやらないと道具に遊ばれているだけになると思います。

私が思うにアニメーターが出来ることはもっと表現にこだわれる事へ「拡張される」のではないかなと思っています。なのでアニメーションはこういう動きだという理解をして追求することを大きく拡張できるのがデジタルのこれからの可能性です。

3DCGとうまくクロスオーバーできる所は日本のアニメーションの強みではないかと私は思っています。

デジタル作画はどうしたら活性化するだろうか?

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教育や産業の観点から

坂本(京都):教育の観点から補足したいのですが、人材育成というところでは制作スタジオと大学が協力して、新しいワークフローを見据えた上で新しい人材を生み出していければいけないと思っています。

また行政は助成金や補助金を出すだけではなく、それをどう運用してどのような制作環境などを構築しいくのかを考えてインフラを整えていかなければならないと思っています。

僕自身は3DCGを専門でやってますが、自身でもクラウドサービスを使って東京とやり取りしています。これからのデジタル作画もそのようにやっていければと思ってます。

大橋:地方に拡散していく事はアニメーションという産業にとっては大きな事です。

今までは東京に出て行かないとアニメが作れないという状態でした。若者が実家の近くで仕事ができるという事はその地域へ還元できるものも大きいのではないかと思います。

東京のアニメスタジオから

宇田:我々はデジタル作画を中心に制作しておりますが「劇場作品を中心にいい作品を作りたい」というところが動機で、制作効率を上げるためにデジタル作画を取り入れています。

そしてアニメスタジオとしては東京でも珍しい場所、天王洲アイルという場所にありながら「台風のノルダ」という作品を制作することができました。

アニメ業界が抱える長時間労働、低賃金という問題も一部分では正しいところもありますが、チャンスも沢山ありますので主体的にアニメ業界を支えれる人材が京都からも育っていけるようにこのような場が続いていけばありがたいなと思っております。

京都のアニメスタジオから

坂本(ライデン):デジタル作画の導入に関しては、地方のスタジオが一番取り組んでいかなきゃいけないのかなとは思ってます。

デジタル作画という話からはそれてしまうかもしれませんが、地方にアニメスタジオを作るには教育関係、教育機関とどのように関わっていくかをしっかり考えていかなければいけないと思っています。

関西のアニメ業界の歴史は実はとても長いのですが、京都にはアニメスタジオが殆どありません。現在の関西のアニメスタジオは大阪に集中しています。何故、大阪に集中しているのかというと、それだけアニメの専門学校が多いという所に要因があるのかなと思っています。

まず地方でアニメスタジオを作る際に考えるべきなのは、その地方にどれだけの学生がいるのか、どれだけ学生を教えていける教育機関があるのか、これらを大前提に考えていかないと長く続けるのは難しいのではないのかなと思っています。

そしてこれらの流れを盛り立てていくためには周囲の協力が不可欠です。ですので京都での産官学での取り組みはとても良いものだと思っています。

ハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカーから

轟木:現在、世界の沢山のメーカーで製造され、海外製が世界のシェアの殆どを握っている3Dプリンターですが、実は基礎技術は日本のものであったという例もあります。ですので日本の中にデバイスやツールメーカーが有ることもとても良いことだなと思います。

また「産官学連携」というのは非常に重要だと思っています。今回の取り組みも非常に素晴らしいものだと思っておりますので、我々もアニメ業界ならびに教育現場とも連携して日本のアニメ業界の発展と地域雇用の活性化に協力していければと思っております。

野﨑:我々は単純にツールをデジタル化するだけではなくて、どこにいても誰とでも仕事ができるという事を実現したいという目的があります。ツール機能のエンハンスや遠隔地同士での制作に関するアイディアなどを得られる今回の様な会合に参加させていただき、大変うれしく思います。

また我々が開くコンテストへの作品の応募数の多さなどから海外からの熱量の高さを感じております。ですから若い方には恥ずかしさを捨ててもっとアグレッシブになっていただけたら嬉しいなと思っております。

自主アニメーション制作団体から

秋吉:私がここにいるのは10年前にアニメーター志望者と出会い、アニメーターの現状を知ったことがキッカケです。そこで思ったのが若い方が一番苦しんじゃないかなということ。今の学生たちもデジタルとアナログの間でどういうことを学んで業界にいけばいいんだろうと不安に思っている人が多いと思っています。我々も情報発信をしたり交流会の場を作ったりしていますが、このようなイベントが産官学連携で行われることも若い方々が業界のことを知っていくことができるとても良い機会だと思います。

インターネットを使っての制作のデメリットとしてコミュニケーションが取りづらく誤解などが生じてしまうという点があります。今後、ツールが整ったとしても顔をあわせて物を作る大切さがあるとは思っています。これからは地方でも人が集まりクリエイター同士で交流をしてお互いを高め合えるような機会ができればと思っています。

(取材、撮影、記事:迫田祐樹)

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