アニメーターの未来とは?「日本アニメ(ーター)見本市 初号上映」では色々と考えさせられた

進行の山田幸美さんと氷川竜介さん

進行の山田幸美さんと氷川竜介さん

この「日本アニメ(ーター)見本市 初号上映」では7月25日から上映される「劇場上映 日本アニメ(ーター)見本市」の上映内容にプラスして、ファーストシーズンの監督陣の濃密なトークショーが繰り広げられました。「人材育成、自由な創作の場」を作ることを目標の一つにしているこの企画ですので、トークショーの内容は必然的に「アニメ業界の現状」や「アニメーターの今後」にも言及されていきました。

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Q:普段からアイディアはためこんでいますか?

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アイデアストックについて語る雨宮哲さん

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イブセキヨルニのことにも言及された平松禎史さん

平松:第一期は選んでないが、2期は普段の社会問題を見ていて気になっていたことをこういう企画じゃないとできないと思ったからやってみた。
雨宮:普段からためこんだほうがいいのは本当。僕はためてなかったので大変だった。(「今回は大変でしたか?」という質問に対し)僕は大変じゃなかった。

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テンションが上がった時に制作のモチベーションが上がると語る吉崎響さん

吉崎:普段は映像を作ることしか考えてない。何を見てもどうしたら映像になるかを考えている。あとは一番テンション上がるものを作品にしようと思っている。(「ME!ME!ME!に関しては?」という質問に対し)なんで作ろうと思ったのか思い出せないですよね。(会場笑)なにか衝動や理由があったと思うのだが、なにだったか覚えてない。

Q:CGアニメの今後の行方、手描きとCGの融合などについて

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CGとアニメの融合はより渾然一体になると語る吉浦康裕さん

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ヤマデロイドについて語る江本正弘さん

吉浦:自分も手描きメインではあるがCGもよく使う。例えば今までは飛行機やロボはCGでキャラは手描きだったが、最近は同一のキャラクターであっても引きの画だとCGというように混在していて、それはぱっと見分からないまでになっている。手段としてどっちがやりやすいかを選べる。より混然一体となると思う。
江本:割合としてはCGのほうが多くなると思う。現状はCGとハイブリットが多い。ヤマデロイドはコンテに対してCGチームからレイアウトをだしてもらいチェック。
谷:これから映像の中のCGの割合は増える一方だと思う。CGをやりたいということであればやってみたほうがいいとおもう。CGを使って何をするのかが重要。

JapanAnimeMedia’s view

例えば「カメラが回りこむシーン」や「カメラがキャラクターをフォローして背景が大きく変わるシーン(背景動画)」を作る場合、現在は作画でやるか、CGでやるか、という選択肢があります。どちらを選ぶかは制作環境(予算、スタッフ、納期、作品の客層….)などで変わりますが、どちらがいいという普遍的な答えはないと思ってます。

CG導入前ではそういった選択肢は無く、描くか描かないか。リミテッドアニメーションと言われる日本のアニメでは描かないという選択肢を選ぶ事が多かったでしょう。だからアニメーターにとっては「回り込み」や「背景動画」のシーンは腕の見せどころだったでしょう。

先述したように、どちらが正しいという答えはないと思います。その作品を仕上げる為の手段として一番適したものを選ぶべきですね。

Q:専用ウェブサイトやアプリはクオリティが高く、英語にも対応している。これは海外での展開を模索してのことだったのか?

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今回の企画においての自身の役割を語る川上量生さん

川上:世界に見てもらいたいとは思っていた。英語版を最初から作るというのは前提だった。とはいえ表現の問題もあった。僕がやっていた具体的な仕事は「これはだしてもオッケーか?エロなんかを」ということを選定すること。世界的な基準などがある。

JapanAnimeMedia’s view

日本アニメ(ーター)見本市の公式サイトはレスポンシブデザインに対応しています。このことからこの企画は様々な画面の大きさ(スマホ〜大画面)で見られることを意識していることがうかがえます。また日本語のみならず英語表記もオプションで容易していることも世界を意識しているという事を感じられます。作品の内容も「多様性」がありますが、見る方にも「多様性」を意識されているのがこの企画の大きなポイントだと思います。

ところで日本のウェブサイトはホントにデザイン面で古いものが多いように思います。それは日本語フォントが少ないことや、日本人がウェブサイトに求める機能性の違いが生み出しているものでもありますが、せめてレスポンシブデザインには対応して欲しいとはよく思います。スマホでサイトを見た時にPC用のページが出てきた時にはげんなりします。現在はスマホからのアクセスがトラフィックの中で大部分の占めています。そのことも意識されているこの日本アニメ(ーター)見本市のサイトは素晴らしいと思います。

Q:現在、企画はサードシーズンまで進んでいるが、出来上がってきた作品などを見て企画前の予想と変わった点はありますか?またクリエイターへの影響はありましたか?

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日本アニメ(ーター)見本市について語る庵野秀明さん

庵野:サードシーズンまでやるとは予想してなかった。結構やりたいといってきてくれたクリエイターがいた。ウルトラマン グリッドマンはつくれてよかった。本来アニメには多様性があった。しかし最近のアニメは2極化している印象がある。今回欲しかったのは多様性。それが面白いと思うからそういうのを新作で観たいと思った。それはすごくよかった。こういう企画が好きな人には引っかかる。他にはこういうのは出来る環境ではないので今回できてよかった。主流にはならないと思うが。

JapanAnimeMedia’s view

アニメが現在のように「多様性」を失ったことには様々な理由があります。しかしそれらを断罪することだけはできません。そこには「アニメーターがテレビアニメを作れる環境を作るため」の努力があったからです。製作方式が現在の形になったことはこの事が大きな理由となっています。

「最近のアニメは同じような内容ばかりで面白くない」と思われるかもしれませんが、逆にこの経済状況下でTVアニメが「作られ続けている」こと自体がすごい事ともいえます。

本来、多様性にチャレンジできる事がアニメの良さであり、それがアニメでもありました。その部分はこれからも残っていくべきではありますが、現在の製作方式ではそれが実現できません。ですのでこの後の質問でも言及されたような新たな製作方式を模索していく必要があります。

Q:海賊版問題について

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「やっと回答の順番かと思ったら難しいことを…」と鶴巻和哉さん

山田:難しい質問かと思いますが、鶴巻さんいかがでしょうか?

(会場とパネリスト笑)

鶴巻:自分でYoutube見るし、見逃したアニメは見たりするので「犯罪だぞ」とは強く言えない笑。MADというんですかね。それをみているとストーリーは関係なくなっていて、アニメーションの純粋のアクションと音のシンクロだけでかっこいいと感じた。そういうのを見てると2次創作系に価値がないとは思わないが、どこまでいっていいのかわからない。

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海賊版やネットでの著作権問題は一得一失です。どちらに大きく触れるかはコントロールできないのではないかと正直思います。頑張りたいですが…。

Q:音楽制作について、音楽制作システムについて

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音楽の力について語る堀内隆さん

堀内:現場では音を意識することはあまりない。ただミュージッククリップなどの仕事をすると絵に音がつく瞬間に立ち会うことがある。音の力が時には絵より偉大に感じることがある。音が演出にダイナミックに連鎖できるようになればさらに映像制作は色々できると思う。
氷川:音楽もアニメも同じリアルタイム芸術。音楽とアニメは親和性がある。完全にあったり少しずれてたり オーケストラのような効果がある。

Q:人気の高い作品の長編化については?

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長編化、ありえるかもしれませんね

庵野:可能性はあります。でもね、大変ですよ。山下君のどんだけ時間と金がかかったか笑!この企画だからできているというのもある。スポンサーもあれば現場もある。サンライズがやってくれればいいが。

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このような野心的な企画で突飛な作品やキャラクターに挑戦して、反響があったら長編化するというの流れはいいかと思います。現在の長編やTVシリーズの製作システムには挑戦という観念が存在しませんから。スポンサーも海外に求める手もあるかと思うんですが、どうなんでしょうか….。

Q:クラウドファンディング、クリエイターへの直接の投資について

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ファンディングについて語る庵野秀明さん

庵野:お気持ちは大変うれしい。権利関係がもろもろあって大変だが。一概にそれだけでできるか難しい。
川上:世界的に集めたことでの成功例もあるが、日本国内だけだと難しいというのが現状。
庵野:アニメーションって一本作るのにお金がかかるんですよ。ジブリほどかかるのは無いが、劇場は億かかる。その回収が大変だ。この企画は赤字前提でやってるから出来てる。ちょっと前は回収のスキームができていたが、いまはできていない。製作委員会方式では回収できなくなった。売れない原因は多々あると思う。しかしまずは気持ちが大事。アニメーションに対しての愛情があればスタートできるとおもう。こういうものを作りたい、こういうものを観たい。大きい画面でこういう企画を見てほしい。

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これからはシュリンクしていく国内市場だけにターゲットを絞っていてはダメなのはアニメ業界においても例外ではなく、販売先や資金調達元それら全てを海外に目を向けて考える必要があります。作品を制作するときは海外を意識したマーケティングやターゲティングを行う必要があり、またクリエイターが尊重される海外文化に習ってクリエイター自身がセルフマーケティングを行える土壌を作る必要があると思います。

Q:ファンとして何かできることはありますか?

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「ひさびさに感動した!」と語る庵野秀明さん

「アニメ業界に来てほしい」と語る雨宮哲さん

「アニメ業界に来てほしい」と語る雨宮哲さん

雨宮:すんごい好きな人はアニメ業界に来たほうがいい。業界に来てほしい。それが絶対に力になる。
庵野:雨宮いいこというね!(会場笑)久しぶりに感動した!(会場拍手)

雨宮:(庵野秀明さんの言葉を受けて)こういういいこともあるので是非業界に来てください。

山田:前田さん、いかがでしょうか?
前田:買ってください。観てください。触れてください。気になっているものに近づいてほしい。

JapanAnimeMedia’s view

現在のアニメーターは、昔見たすごく好きなアニメを自分も作りたくてアニメ業界に入っています。そして今の若い人が憧れるようなアニメを作ってきています。そしてそのアニメに憧れてまた新たな未来のアニメーターが生まれます。これはとても自然で健全な流れで今後も続いて行くべきことなのですが、現在は「アニメーターであること」の負の側面だけが異常に大きくピックアップされてしまっています。アニメが大好きで新たな視点を持った人々が、現在のアニメ業界の人たちと協力して新たな形を模索していければと思ってます。我々もそれに向かって進んでいきたいです。

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