【風の谷のナウシカ】アニメの作り方を知った後に感じた7つのこと

もうアニメの作り方に対する考え方が変わってしまいました。

自分はアニメ制作を始めたキッカケが新海誠監督の「言の葉の庭」を観たことで、その作中に描かれていた美しいシーン群を観たことは、自分を全く未知の世界だったアニメ制作に向かわせる強い動機になりました。そしてそれらを作るために使われた技術は、主にデジタルに根ざしたものでした。

そんなこんなでアニメの系譜を全く無視して、当初からデジタル至上主義者かのようにデジタルだけでの制作をベースに画作りもデジタル技術から見える景色を映像化しようと思っていました。

セルアニメならではの画作り

しかし今現在、アニメの作り方に対する見方が変わってしまいました。その理由となったのが「風の谷のナウシカ」を再び観直した事です。ずっとDVDを所持していたのですが、先日ふとちゃんと観直してみよう思いました。

実は「風の谷のナウシカ」にはジブリ作品のDVDでは珍しいオーディコメンタリーが収録されています。しかもコメンタリーに登場するのは庵野秀明さんと片山一良さんです。これも今回作品を深堀りできた大きな理由でした。「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の押井守さんと西村純二さんのオーディオコメンタリーも最高に楽しかったですが、このオーディオコメンタリーも庵野秀明さんのぼやき(?)や、テトへの愛が聞けてとても楽しかった。

それではここで感じた7つのことをまとめていきたいと思います。今回はすでに自分のパーソナルのTwitterで新発見シリーズを連続ツイートしてますので、それらを再度まとめていきます。

密着マルチ

密着マルチは「風の谷のナウシカ」オーディオコメンタリー用語解説集では以下のように解説されています。

画面全体に焦点があっているマルチ撮影。カメラから同じ距離に複数の段を組んで撮影すること。

 

アニメの画面は平面です。ゲームのマリオのようにどこまでも平面移動していいのであれば話は終了ですが、やはり映像なので立体感や奥行きが必要です。

そこでこの密着マルチという技術が使われます。

作業ベースでは具体的に何をするかというと、キャラクター以外に画面にある構成物(木とか建物とか…)をそれぞれ違う速度でスライドさせます。そうすると平面の画面に奥行きを感じれるようになるんです。例えば電車の車窓から景色を見るとき、手前のものと奥のものとでは通り過ぎる速度が違いますよね?それが遠近感であり奥行きです。アニメの画面でもそれを擬似的に作ってあげることで、平面なのに奥行きを錯覚するというわけです。

実は今でこそ3DCGの技術がアニメにも大量に使われていますので、奥行きを作ることは容易になってます。実際のデジタルデータ上では奥行きはモデリングされて「存在」しているのです。しかしつい最近までセルアニメ方式でアニメを作っていた日本のアニメ制作現場では奥行きを出すにはこの方法が主流でした。

さて、小さい頃に観た時は全く感じなかったのですが、「風の谷のナウシカ」は密着マルチがかなり多めです。腐海の深さや奥行きを表現する為に必要な技術だったのでしょう。

※蛇足ですが、こういう用語を使った話をすると「撮影」という用語を筆頭にアナログ時代とデジタル時代では全く違う事をするのに用語はそのまま流用されてて、それらを説明するときに戸惑うことが多々あります。後述の「ハーモニー」などもそうですね…。

水の表現

 

宮﨑駿さんの水の表現は素晴らしいです。アニメは記号ですが、水の表現も記号で表す事ができるんですね。「カリオストロの城」の水路の水の表現なんかも大好きです。

ハーモニー処理

ハーモニーは「風の谷のナウシカ」オーディオコメンタリー用語解説集では以下のように解説されています。

動画の線をトレスマシンでセルに転写し、それに美術で背景画的な画法によって色を付けていくものと、美術で描いた素材を切り抜き、セルで貼り付ける2種類がある。

ハーモニー処理を施される背景素材は、主線(オモセン)と呼ばれるアウトラインによってそれが背景でもあり且つ主役でもあると定義付けられます。庵野秀明さんはオーディオコメンタリーで「巨神兵の卵」に何故ハーモニー処理をしなかったんだろうかと言われてました。確かにあのシーン、飛行機の瓦礫と巨神兵の卵はお互いに潰し合っててなんだかミトの「そういえば、こいつは人の形にも見えます。」という言葉が薄れてしまっていました。

モブのトメシーン

 

宮崎アニメの醍醐味は群衆@みんな動く。この演出が与えるアニメ制作へのインパクトたるや。これぞ宮崎アニメのアニメーターの腕(と根気)の見せ所なんですが、この「風の谷のナウシカ」では結構モブは止まってるんですね。目パチくらいするかとおもいきや思いっきりトメだったりするのでこれには衝撃を感じました。

テトのフルアニメーション

テトかわいいよ、テト。

なかむらたかしさんの担当シーン

 

やっぱりなかむらたかしさんはすごかった。

王蟲のゴムマルチ(王蟲マルチ)

ゴムマルチ(王蟲マルチ)は「風の谷のナウシカ」オーディオコメンタリー用語解説集では以下のように解説されています。

十数片の殻からなる王蟲の体をそれぞれ違ったタイミングで動かすことは当時の撮影台では不可能であったため、これを可能となるよう考案された装置のこと。殻の一片一片を柔軟性のある素材でつなぎ、それを伸縮させて殻と殻の間隔を増減することにより王蟲の体の動きを表現している。この柔軟性ある素材に平ゴムを使用したことからゴムマルチと呼ばれるようになった。

この王蟲のマルチ処理って、多分僕の頭のなかで死ぬまで離れないくらいの衝撃だと思います。王蟲がどれだけ重要なキャラクターであったか如実にわかりますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Enjoy this blog? Please spread the word :)