メカニックデザイナー・コゥタロゥが語る「荒野のセレンディピティ」

StudioDomoの迫田です。

自主制作アニメーション企画「荒野のセレンディピティ」の制作に密着し、制作過程や所属クリエイターの記事を連載している連載、今回はその第4弾です。

今までの連載をまとめました。

今回は「荒野のセレンディピティ」の制作チーム:GangAgeAnimation(GAA)のメカニックデザイナー、コゥタロゥさんに「荒野のセレンディピティ」に登場する「廃墟スラム」や「機動要塞」、その他のメカニックデザインがどのように生まれたのかを伺いました。

実際の設定資料も大公開します!すべての画像はクリックすると大きく見れますよ。

コゥタロゥとは何者なんだ?

fortress_10

機動要塞のミサイル

fortress_09

機動要塞のミサイル発射管

「荒野のセレンディピティ」の鉄とプラスチックで出来ているものはすべてデザインされているというコゥタロゥさん。

飯干監督いわくコゥタロゥさんは「演出のスキルを持っている」とのことです。監督がざっくりオーダーした内容に+αで付け足してくれるということらしいです。メカニカルにどのように起動しているのかを考えて追加していく。例えば脚部にシュルツェンを付けてくれたりなど。

そんなコゥタロゥさん、もともと絵を描くことが好きだったそうなのですがアニメ関係の学校などには行っておらず、ガンダムのファンアニメを作ったことでアニメーション制作を体験されたそうです。使用されているツールはWindows7のPCとペンタブとのこと。

それでは実際にコゥタロゥさんがどのようにメカニックデザインを語ったのかを会話形式で紹介していきますね。

ガンダムは血肉

dalius_color_01

どういうギミックがあったら絵的な面白いかなと考えますね。同時に機械としての機能性をなるべく両立できるように考えてます。そう考えるのはリアルロボットが好きだからなのかなと思います。

ーガンダムがすごく好きだということなんですが、ー番好きなガンダムはなんですか?

コゥタロゥ:一番好きなガンダムは∀ガンダムですね。物語の展開、舞台設定に説得力があって共感できる話でした。第一話と二話でガッチリ掴まれましたね。一話で∀ガンダムの世界観に慣れたと思ったら、二話でいきなりディアナカウンターの襲撃、砲撃、空にサーチライト、そしてモビルスーツが降下してくる。ずっとガンダムを見ていたから巨大ロボットが出てくるという事が当たり前になっていたんですが、それを見た時に「巨大で人智を超えた機械ってこんなに怖いんだ」と思わされて、この作品はすごいな、と感じました。

ー好きなモビルスーツは?

コゥタロゥ:F2型ザクですね。もともとカトキハジメさんデザインは大好きなんですが、F2型ザクはザクをブラッシュアップして詰められているデザインだと感じます。

「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」で制定された統合整備計画、マニュピレーターや関節を全部規格化して生産性を上げるという設定なんですが、そのラインをきちんと取り入れてデザインされている。スタイルの見せ方やギミックも細かく描かれていると思います。

好きだから仕事にしない

dalius_04

バイクのダリウス

dalius_05

ダリウスの各種メーター

コゥタロゥ:中学生くらいの時はアニメーターになりたいと思った時期もありましたね。その後、声優を目指して声優の養成所に2年くらい通いました。フリーターしながらお芝居をしていた時期もありました。結局その夢を諦めて、別の仕事をしながら今に至っているという感じです。

ーということは「荒野のセレンディピティ」でも声優として出演とかもあるんじゃないですか?

コゥタロゥ:どうなんですかねー笑。でも今でもたまに芝居したくなるときはありますね。

メカニックデザインへのこだわり

ダリウス

dalius_10

アニーとダリウス

dalius_11

ダリウス

コゥタロゥ:ロボットはよく描いていたんですが、バイクとかの乗り物、巨大な戦艦、巨大構造物っていうものは苦手だったんです。ですので今回は資料を探しながら描きました。これらはもともとラフで描かれていたデザインがあったのでそれをそのままブラッシュアップする形でしたね。バイクは主砲を完全にリボルバーにしたりとか面白いデザインにできたとは思います。

機動要塞

機動要塞

機動要塞

コゥタロゥ:監督からの最初のオーダーは「蜘蛛っぽい感じで」ということでした。それで出来た8本の脚が生えている機動要塞なんですけど、主砲が旋回すると脚に当たっちゃうんじゃないかという所が実は気になってしょうがないんです。スーパーテクノロジーのAIなので自分の脚を撃っちゃうんなんてことはないんでしょうけどね。そういうところを気にしながら作っています。

また艦橋に四角い塊(メインコンピューター)があるのも監督のオーダーでした。

fortress_08

艦首ビーム砲

fortress_06

艦橋にあるメインコンピューター

fortress_20

機動要塞 甲板パース

コゥタロゥ:とにかく重武装なので、絵で上手く見せれたらかっこいいんじゃないかなぁと思いまして結構苦労しました。いい具合に監督の蜘蛛のイメージ(目玉がついててお腹もあって)を上手くまとめれたんじゃないかなと思います。この機動要塞自体はすばしっこい動きをするものじゃなく、ずっしりと動きます。ですので背景に近い処理にはなるのかなと思いますね。そういう意味でパネルラインは実線を引いたり、色トレスみたいな処理も多くなるのではないのかなと思います。甲板の上のパースをめっちゃ気に入ってます!

廃墟スラム

ghostslum_01

廃墟スラム

コゥタロゥ:まず最初に挙がっていたイメージボードを元にしてデザインしたものがあったんですが、それがボツになったんです。そこでそれを「えーい!」って壊して再利用しました。こないだ神戸に遊びに行った時に川崎重工の横をクルージングしたんですけど、そこでめっちゃ写真を撮りまくりました。それがこの廃墟スラムにクレーンに活きてますね。

無人戦車

mujinsensha01

無人戦車

コゥタロゥ:これが一番最初にデザインを挙げたものなんです。多足戦車というのが自分が今まで描いたきたものに一番近かった。考えたのはカメラのセンサーユニットのギミックだったり、「砂の中に潜っても大丈夫なように」というオーダーに応える為に砲塔をしまう構造だったりですね。

mujinsensha07

無人戦車 脚部

mujinsensha06

無人戦車 センサー砲塔

コゥタロゥ:足の関節部分のカバーを特に考えました。普通の布にしたらレイバーみたいになってしまいますし、地中に潜るという設定もあります。そこでN700系の新幹線の車両と車両の接続部分にあるカバーを参考にして、あんな感じの厚手の素材で繋がれているという感じが良さそうかなと考えました。

mujinsensha03

無人戦車 車体

mujinsensha05

無人戦車 主砲塔

ダリウスのマーキング

dalius_12

ダリウス マーキング

コゥタロゥ:最初にファイアーパターンを監督にオーダーされたんですが、一般的にファイアーパターンっていうとアメリカンな感じをイメージするじゃないですか。でもバイクに乗っている娘がアニーという女の子なので可愛くしてもいいかなと思って。手前がアニーで、後ろがダリウスを表しています。これじゃだめかなー、と思ったんですが意外と感触が良かったです。

世界観がかなり荒廃してる感じなので、マーキングもこれくらいの手作り感があったほうがいいんじゃないかと思いました。完成されすぎちゃうと文化的な感じが出すぎちゃいますからね。

アニーのライフル

anny_rifle

アニーのライフル

コゥタロゥ:カトキハジメさんの影響を受けてますね。モデルガンの雑誌をめくりながら銃としてみてかっこよく見えるようにデザインしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Enjoy this blog? Please spread the word :)