京都アニメーションの新星・藤田春香の演出に迫る

京都アニメーションに新星が現れた!

京都アニメーションの最新TVシリーズ「響け!ユーフォニアム」、今までの京都アニメーション(以下、京アニ)作品っぽいキャラクターや作画でありながら、実は少し風変わりな物語の雰囲気を持つこの作品は2015年4月〜6月(2015年春アニメ)のアニメシーンで話題になっています。

物語もいろいろな展開を迎えていく中で、先日放送された第8話「おまつりトライアングル」。このエピソードでこれからの京アニないしは日本アニメの中心的な演出家になりそうな勢いで頭角を現したクリエイターがいました。それは絵コンテ・演出を担当した藤田春香さんです。

なんだこのテンポの良さは!

第8話「おまつりトライアングル」は放映後からたくさんのアニメファンにインパクトを与えました。普段から京アニ作品の素晴らしさによく感動させられているもののやはり演出面で少しばかりのマンネリを、何を間違ってか京アニ作品に対して感じていた筆者も久々に驚かされたエピソードでした。画面を見ながら「まじかまじか」と独り言ちてしまいましたし、何度も何度も見返しました。そして見返すたびに気づくのはこの8話の進行スピードが体感的にとても早いこと。

そうです。画面に飽きがないんですね。テンポがとてもいい。これは単にダレ場が少ないとかそういう話ではなく、おそらくカットのつなぎ方やセリフなどの効果的な使い方から来ているテンポ感であったと感じます。アニメーション制作の作業範疇はクレジットだけでは正確には測れませんが、クレジットだけでみるとこのエピソードの絵コンテ・演出は前述の「藤田春香」さんというお方。

絵コンテ・演出というのは一昔前のアニメ制作でいうと「監督」と同義の職責です。絵コンテは画面設計の基礎の部分でよく「アニメの設計図」と言われます。演出に関しては幅がありそうですがおそらくこのエピソードの場合だと、絵コンテ段階で「カメラワーク」や「コマ割り」「カットの繋ぎ方」などを詳しく絵コンテとして落としこんで描いているのでいるので「絵コンテ・演出」のクレジットなのかなと思います。ということはこのエピソードはこの「藤田春香」さんが恣意的に作った画が投影されてるということです。

演出家:藤田春香の過去の作品ではどうだろう?

アニメーターとしては2011年の「日常」原画デビューから数々の京アニ作品で活躍してきた演出家:藤田春香さんですが、演出家としてのデビューは2014年の「中二病でも恋がしたい!戀」5話で演出補佐を経てからの、11話で本格デビューです。

今回は藤田春香さんが演出を担当している

中二病でも恋がしたい!戀(2014)11話
甘城ブリリアントパーク(2014)8話

を見比べてみて、演出面での特徴などをピックアップし魅力を解析してみようと思います。

中二病でも恋がしたい!戀(2014)11話

やはり初演出ということで小さくまとまっている気はしなくは無いです。しかし各所に「おまつりトライアングル」につながってくる予兆を見ることはできるのかなと思います。「それって、こじつけじゃないの?」って思われるかもしれません。すいませんが温かい目で見てやってください。

アクションカット

やっぱり抜群のテンポ感を生み出しているのはアクションカットでのカットつなぎでしょうか。「中二病でも恋がしたい!戀」でも効果的に使われていました。

寄ってから更に寄る「2段階寄り」

「引きの」画は、基本的にその次のカットに「寄りの画」を求めます。極端に言うと「引き」→「寄り」→「引き」という風に構成されていれば、映像がそれっぽく見えるものです。ここで小見出しの「2段階寄り」(勝手にネーミング)ですが、これは一度寄った画を見せてから、更に寄りの画を持ってくる見せ方です。藤田春香さんの演出では2つ目の寄りの画は短い時間で主に「目」などを写していましたね。

「目」は心です。

この見せ方をすることで、カメラが寄ったキャラに対して視聴者はグッと没入していきます。そのキャラが発している言葉に対して「まるで自分が言われている」または「自分が言っている」ように錯覚します。このような演出はビジュアルで映像に没入させる効果をもたらす良い方法ですね。

背景ボケのキラキラ、逆光カットを効果的に使う

  • 川のきらめき
  • 街の輝き
  • 夕日の光
  • 月の光

これら光の視覚効果を存分に背中に背負って、キャラクター達は輝きます。逆光の構図は被写体の輪郭を否応なしに引き立て、その存在に対して唯一無二の装飾を施します。この演出は「おまつりトライアングル」の高坂麗奈に嫌というほど使われていました。「夏夜の青光」を従えた高坂麗奈に惚れた視聴者は筆者では無いはずです。


甘城ブリリアントパーク(2014)8話

天城ブリリアントパーク」の中でもこの8話というエピソードは、軽い箸休め回というかスピンオフ的にサブキャラクターが面白可笑しい回になっています。そういうコメディチック演出も上手いんですね〜。

すばやいカットつなぎ

正確に秒数やコマ数を測ったわけではないですが、明らかに1カットが短いです。アニメ特有の短いカット割りはそれだけでテンポを作品内に生み出します。しかしだからといってただ短いカットを繋げば良いというわけではありません。今あるカットは次のカットにある程度の誓約を与えます。

イマジナリーラインであったりいろいろ言い方とかはあるかと思いますが、要は視聴者が今あるカットの次に見たいと思っているカット(人が持つ無意識の経験則に基づいて)を効果的に繋げてあげる必要があるんです。そうしないと見ている側は、何がポイントなのか分からなくなり混乱してしまいます。京アニ作品群全体に言えることですが、このカットの繋ぎが上手いので素早くカットが切り替わっても混乱することなく見続けることができるんだと思います。

ピン送り

ピントが合ってる被写体を同じ画面内で切り替える方法で、アニメでこれをやるには手前と奥の2枚以上のセル(便宜上セルと言います)を用意し、AfterEffectsなどの撮影ソフトでピントを切り替えます。これをすることで画面の中でメインとして見せたい「被写体の移行」を暗示できます。天城ブリリアントパークのこの回では、よくこの手法が使われているように感じました。おそらく藤田春香さんは切り替わる一つ一つの画面内の「主役」が「誰なのか?何なのか?」に重きをおいて演出しているように思います。なのでPANなどのカメラワークも基本的に被写体をFollowする形になりやすいように思います。画面の中心にキャラクターを置くような画作りも多いですね。

まとめ

とまぁここまで書いてみてやっぱりひとつの結論に到達します。良い作品に通底することです。

「人は無意識下で見たいと思っている画があり、それが提示されると良い作品だなと思う」「アニメは記号なので、綺麗なものはより綺麗に!リアリティなんて関係ねぇ!」以上。

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