マクドナルドCMクリエイターは20代女子!!スタジオコロリドの女子メンバーに迫る

制作の中心は、20代女子でした。

最近、テレビでアニメCMが流れてくると「もしかしてコロリドかな?」と思うくらい認知度が上がってきており、一種のブランドにもなっているスタジオコロリド。

そんな中での今回の新作は「マクドナルド」。みなさんはもうご覧になっているとは思いますが、まだの方はこの記事のトップのyoutubeへどうぞ。マクドナルドがアニメCMという驚きもあるなかでの話題のCMですが、海外でも話題のようですよ。

今回はそのマクドナルドのCMから中心メンバーの20代女子2名にお話を聞いてきました。

アニメ制作業界で話題沸騰中のデジタル作画を武器に業界の先頭を走っているスタジオコロリドで、彼女たちが今どのような気持ちで仕事をしているのか、また今後のキャリアをどのように考えいているのか、スタジオコロリドではどのようなチャンスを与えてくれるのか。

マクドナルドWEBムービー「未来のワタシ」篇 アニメーション制作スタッフ

監督:伊藤衆人(ロボット)

絵コンテ・演出:亀渕裕、新井陽次郎

キャラクターデザイン・作画監督:石舘波子

詳しくはスタジオコロリドHPにて掲載中

いしだてこばやし
(写真左:制作進行の小林みなみさん)(写真右:キャラクターデザイン、作画監督の石舘波子さん)

マクドナルドCMの誕生

スタジオコロリド 石舘波子 小林みなみ

JapanAnimeMedia(以下、JAM):マクドナルドCMについて伺ってもいいですか?

石舘波子(以下、石舘):マクドナルドのリクルートCMでロボットさんから声がけいただきました。私はコロリド社内で別のプロジェクトもやってたんですが、そんな中で急にマクドナルドの企画の話で声がかかりまして。完成まではあっという間でした。

企画から納品までは三ヶ月くらい、アニメ制作自体は一ヶ月という凄まじいスピード感でした。今は若干記憶が薄れつつあります(笑)普通の企画はアニメ本編の映像作りだけで完結するんですけど、今回は版権物も多くて。30点以上描いたんじゃないですかね。

JAM:制作の終盤は徹夜も多かったのかなと思うのですが、そのあたりは20代女子的な視点でいうとどうなんですかね?

石舘:体調管理は課題になりますし、制作とのコミュニケーションも大事ですね。徹夜になる時はお風呂セットをがっつり持ってきてますよ。このビルは下の階にシャワー室がありますし、品川の方へ少し歩けば銭湯もあるんです。

コロリドはもともと男性が多かったのですが、作画に関していえば「台風のノルダ」から女性も増えてきました。でも「女性の作画で徹夜は石舘さんが初だよ」と言われました(笑) まぁ徹夜というか夜型という感じですかね。やりきらずに帰れない性格なのでしっかりやりきってから帰るんですが、その姿を見て石田さん(石田祐康さん)に「ストイックだよね」とよく言われます。「いや、石田さんに言われたくない」って思ってます。

JAM:石田さんはさらにストイックそうですよね。

石舘:そうですねー、石田さんは仕事の時と、普段しゃべる時の目つきが全然違いますね。

スタジオコロリドに入った経緯

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(写真:石舘さん作成の粘土の白鳥)

石舘:コロリドには私が多摩美術大学在学中にすでに有名だった京都精華大学卒の石田さんがいましたし、「寫眞館」のなかむらたかし監督もとても好きでして「コロリドきているなー」と思ってました。

私はもともとインディペンデントアニメーションも好きでして、コロリドはアニメ制作会社の中では一番自分のやりたいことに近いなとはずっと思ってました。

そんな中、Twitterの流れていたコロリドの求人情報を友達に教えてもらいました。中学生くらいからペンタブを使ってましてデジタルには慣れているということもあり「コロリドはやりやすいんじゃないか」「行くしかない!」と思い、コンタクトしました。

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石舘:完全なインディペンデントじゃないってところがミソなんですよ。私はいわゆる商業アニメーションと親和性が高い絵を描いていて、性格的にもインディペンデントの作家にはなれなかったんですが、「絵に合うのは商業だな。でもTVシリーズだけをずっとやりたいというわけでもない」という思いがあり、そのハイブリットという感じのスタジオコロリドはぴったりだと思いました。おかげさまで働きやすい環境です。

JAM:キャラクターデザイン、作画監督はコロリドに入ってからマクドナルドのCMが初めてですか?

石舘:キャラクターデザインはマクドナルドが初ですね。作画監督経験については「台風のノルダ」の時に石田さん(作画監督)のお手伝いをさせていただきました。コロリドに入って一、二週間くらいでしたが。

JAM:でもそういうことが起こるのが、スタジオコロリドの良さですよね。

石舘:そうですね。普通じゃありえないですよね。コロリドでは「デジタル作画+原画経験」という複数の技術が必要になるので。少しブランクがあってコロリドに入ったんですが、原画経験が半年未満でいきなりの作画監督だったのでちょっと怒りながらやってました(笑)

スタジオコロリドには我々の世代のスターの石田さんがいました。

JAM:新井さん(新井陽次郎さん)もジブリで動画をやられていてコロリドで監督ですから、やはり通常のアニメスタジオでは考えられないキャリアパスですよね。若い人は本当にやりがいのある環境だと思います。

石舘:そうなんですよ、新井さんにも「自分も経験ないですよ」と言われてましたし、石田さんもアニメスタジオの経験が手塚プロダクションで撮影、しかもスキャンを延々と撮るという事しかやってないとのことだったので、私も頑張らなきゃなと。

ちなみにパズドラで作画監督を担当された永江さん(永江彰浩さん)も自分から「作画監督やりたい」と挙手して「いいよ、いいよ」という感じでした。手を挙げた人がやるという感じです。

CMでは20カット前後の作品を短いスパンで回していく、挑戦の場があるのが沢山あるのがスタジオコロリドの強みかなと思います。

マクドナルドCMのキャラクターデザインについて

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(写真:石舘さんの作業中の様子)

JAM:今回のマクドナルドのキャラクターデザインは、今までのコロリド作品とはまた少し違った感触を受けました。

石舘:このCMはマクドナルドで働いているクルーの話なんですが、マクドナルドってドレスコードがすごく厳しいので服装や髪型やシルエットでキャラクターの差がつけづらいという点はありました。

また今までのコロリドのキャラクターデザインは「動かす」ためのデザインでしたので、今回求められたデザインはある意味「今までのコロリドの良さ全封印だな」とは思いましたね(笑)

そこで今までのコロリドの「モブっぽい」キャラクターではなく、記号的に誇張した造形にする必要がありました。参考にするものでいろいろ迷ったんですが、最終的にはいろんな世代やキャラが色々出てくるディズニーの「ベイマックス」を参考にしました。

「ディズニーっぽい」とどこかで言われないかなと期待していたんですが全然言われなくて

私も演出の亀渕さん(亀渕裕さん)も今回が初だったので「台風のノルダ」や「パズドラ」の監督の新井さんにも演出で入っていただき、アドバイスやキャラクターの描き分けの資料などもたくさん用意していただきました。パズドラの時にも使った「エッジハイ」という影を落とさずにハイライトを飛ばす技法があるのですが、新井さんからマクドナルドでもやってほしいというオーダーがあり取り入れました。

JAM:「記号的」という話でいうと、コロリドらしさって「キャラの動き」そして「疾走感」だと思います。ポレットのイスや、パズドラFASTENING DAYSなどが代表的ですが。

石舘:そうですね、しかし常々石田さんと新井さんは「早くフミコ(フミコの告白:石田祐康)から脱出したい」「何か探っていかなきゃいけない」と言われてるんですよ。私の話で言うと疾走感のあるアニメに関しては見ることは好きなんですが、描くことは実は苦手です(笑)。それよりも「ふわふわー」っとしているものが好きですね。浮遊感があるというか。

JAM:「ふわふわー」っていうのが女子っぽくていいですね(笑)。そういう作品だとコロリド作品のControl Bear [WONDER GARDEN](監督:新井陽次郎)などが好きな感じなのではないですか?

石舘:そうなんですよ!あれがやりたいんです。明示されているわけではないですが階層社会というメッセージ性もあって。ああいうのが好きなんですよね。自分が学生時代に作っていたものは結構Control Bearに近い感じです。新井さんとは絵柄、やりたいことが似ているところがあるなと思ってます。

制作進行としてもやりがいがあったマクドナルドCM

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JAM:小林さんは今回の制作、どうでしたか?

小林みなみ(以下、小林):今回は社外の人がかなり入った制作になりました。なかなか人が集まらずに大変でした。そもそもデジタルの原画マンってあまりいないんですよね。原画はなんとか全てデジタルで作業できましたが、動画は結局三分の二くらいは紙になりましたね。

石舘:一緒に動いていたプロジェクトのメンバー総動員という感じでした。私も動画をやったり、原画マンも動画をやったり。

JAM:それってデジタル制作の宿命みたいなものですよね。やろうと思えばセクションを超えて作業できてしまう所。そしてそれが今のアニメ業界にあるシステムにとってあまり良くないこともあったり…。

石舘:デジタルだと動画と仕上げが一緒にされることが良くありますね。だからどっちもやれるようにならなければならない。

小林:今回は仕上げの微調整やリテイクを全て石舘さんにやってもらったんです。かなりの時間短縮になりましたが、セクションを超えて作業ができるデジタル制作に今までの分業制のシステムに慣れている方は「どうなんだろ」と疑問を持つことはあるかもしれませんね。

石舘:社内で完結する分にはいいんですが、社外との関わりも出てくるのでコミュニケーションの仕方が重要になってくると思います。

デジタル制作になることで大幅に変わる制作進行の仕事

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JAM:デジタル制作になることで、例えば車を運転して原画を回収に行くということも無くなりますよね?

石舘:青梅街道でドリフトみたいな(笑)

小林:そうですね。1日の仕事のスタイルとしては基本、画面を見てデータの移動を監視するという感じです。でもマクドナルドでは紙の素材が出ましたので久々に車を運転しましたよ。

JAM:僕の予想なんですが、デジタル制作がアニメの現場に導入されることで制作進行も今まで以上にクリエイティブに関わる機会が増えるのではないかなと思ってます。

小林:制作進行も必然的にデジタルの知識やソフトに強くなりますよね。いろんなデジタルデータで納品されるものを確認していくわけですから。IllustratorやPhotoshop、After EffectsやFLASH、CLIP STUDIO PAINTやStylosなど沢山….。

石舘:例えばPhotoshopの連番で納品されたものがあったとしたら、コロリドはStylosでやっているのでStylos用に変換する必要があるのですが、それを制作進行でやっていただいたりしています。

小林:ソフトの互換性が本当にないんですよね….。ソフトの一本化をしてほしいです。

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石舘:うちはStylosでやってるんですけど、他にStylosを使える人があまりいなくて。CLIP STUDIO PAINTが多いですね。

小林:CLIP STUDIO PAINTはスタジオ単位で取り入れているところが多いですからね。

石舘:業界で統一出来たらいいなと思っているのですが、新しいソフトがどんどん出てくる中ではなかなか難しいですよね。最近はフリーソフトでToonzもでてきましたし。

JAM:3DソフトのBlenderの例もありますが、フリーソフトは裾野が広く使われますからToonzも利用人口は間違いなく増えますよね。

石舘:CLIP STUDIO PAINTが使える学生が増えている現状があるので、コロリドでもCLIP STUDIO PAINTを使っていれば興味を示してくれる学生も多くなるのではないかと思っています。今、プライベートでお世話になった方の送別会のサプライズムービーを作っているのですが、CLIP STUDIO PAINTで作ったところ全部の工程がすぐできたんですよ。コロリド内でCLIP STUDIO PAINTの勉強会したい!!

小林:10人以下の少数でCLIP STUDIO PAINTを使ってアートアニメっぽい、20カット以下くらいの映像だったりを作ってみるのはとても良さそうです。

JAM:実験の場としてウェブサイトを作って、そこでウェブムービーとして作って公開してみたりしたいですね。

石舘:面白そうですね。短いアニメを作って、そのプロジェクトファイルごと公開したりとか。そのファイルを見てデジタルでのアニメを作り方を知ってもらったり。そのまま興味を示してくれればコロリドのリクルートに繋がりますね。

 

話題のアニメグッズ販売について

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JAM:最近のアニメグッズの勢いってすごいですよね。

石舘:好きな人は多いですよね。みなさんコミケも好きだし。

JAM:ここ(スタジオコロリド)はビックサイトにも近いですしね。

石舘:電車とかで見かけますね。そういう方々を見ると「本当にありがたいなー」って思います。

JAM:最近は公式のグッズ展開もすごいですし。

石舘:そうですね、最近の動きを見てて、昔と違うなと思うのは「大人向け」にグッズが出ることですね。アニメのキャラまんまの商品が出るんじゃなくて、服のブランドとかがよくやってるんですけど、パッと見分からない、おしゃれなグッズというのが出ていて。イラストレーターとコラボして受注販売みたいな。コスメグッズなんかもあります。

小林:お金を稼ぎ始めた20代後半の、刺激が欲しいと思っているような人たちが求めるような。

石舘:彼ら(アニメキャラ)を養うために働く!という人もいますよね。そういう視点をキャッチしてビジネスとして回していくという所はすごいです。

JAM:この話、とても女子っぽいですね(笑)

小林:限定ってずるいんですよね。「何日まで予約受付」とか。

石舘:のせられているのは分かってるけど、出来が良いことも分かってるから「買うでしょ!」って感じで。分かる人には分かるっていうのがポイントですよね。本当にちょっとした、そのキャラの配色を意識したグッズとか、むしろそっちの方が嬉しかったり。

多分、女性社員さんが好きでやってると思うんです。だから企画資料とかの熱意もハンパないと思うんですよ。そういうアニメファンの気持ちって、外から見てると分からないと思うんですけど、なんて言っていいかわからないんですけど、「愛かな」と思います。

オマケのスタジオコロリド画像集

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今回お伺いしたスタジオコロリドは、所属クリエイターも会社自体もとても若いスタジオではありますが、設立から短期間で沢山の制作物を世の中に発信し、数々の高評価を受けているアニメスタジオです。

個性的でユニークな所属クリエイターが「オールデジタル作画」という、未だ日本のアニメ制作業界がなしえていない大きな目標に向けて日々挑戦しノウハウを蓄積させています。若いクリエイターがデジタルという武器を使うからこそできる表現と、今まで培われてきた素晴らしい日本のアニメ技法とが融合した新しいアニメがスタジオコロリドから見れる日はそう遠くはないのではないかと思っております。

石舘さん、小林さん、ありがとうございます!

(取材、文:迫田祐樹)

(撮影:小路直哉)

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